医療法による決算及び監査スケジュールについて

医療法

 気が付けば3月、今年初めての更新ですね。時が流れるのが早い。私はと言うと、会計誌に寄稿したり、決算に追われていたりバタバタしていました。

 そんな最中にコロナウイルス騒動も発生してしまいました。皆様も制約が多い中、日々お過ごしになられている事かと思います。健康に留意して、この困難を乗り切りましょう。

 さて、今回は医療法による決算報告や監査についてです。3月決算の医療法人様も多いのかなと言う事で、決算に伴う監事監査報告や理事会、社員総会のスケジュールについて記載していきます。

 ご存知の方も多いかと思いますが、医療法の一部を改正する法律(平成27年法律第74号)が平成27年9月28日に公布され、医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスの強化に関する事項について制度の見直しがされております。 この一環で決算や監査スケジュールについても明確に医療法にて定められることとなりました。

 まず、図で説明した方が良いですかね。以下のようになります。

 こんな流れです。では、順番に該当する医療法を列挙していきます。

➀ 事業報告書等の作成

 医療法人は、毎回会計年度終了後二月以内に、事業報告書等を作成しなければなりません。(医療法第51条)

➁ 監事監査

 医療法人は、事業報告書等について、厚生労働省令で定めるところにより、監事の監査を受けなければなりません。(医療法第51条第4項)

③ 監事の監査報告書の通知期限等

 監事は事業報告書等の受領から四週間又は理事及び監事と合意した日のいずれか遅い日までに、理事に監事の監査報告書の内容を通知しなければなりません。(医療法施行規則第33条の2の4)

➃ 理事会の招集通知

 理事会を招集する者は、理事会の日の1週間前までに、各理事及び各監事に対してその通知を発しなければなりません。

 ただし、理事及び監事全員の同意があるときは、招集の手続きを経ることなく開催することが出来ます。(医療法第46条の7の2)

➄ 理事会の承認

 医療法人は監事の監査を受けた事業報告書等について、理事会の承認を受けなければなりません。(医療法第51条第6項)

➅ 事業報告書等の備地

 医療法人は社員総会の日の一週間前の日から五年間、事業報告書等、監事報告書を主たる事務所に備え置かなければなりません。(医療法第51条の4)

➆ 社員総会の招集通知

 社員総会の招集通知は、その社員総会の日より少なくとも五日前に、その社員総会の目的である事項を示し、定款で定めた方法により行わなければなりません。(医療法第46条の3の2第6項)

⑧ 事業報告書等の社員総会への提出

 社団たる医療法人の理事は、理事会で承認を受けた(5)の事業報告書等を招集通知の際、提供し、また社員総会に提出し、承認 ※を受けなければなりません。

※貸借対照表と損益計算書のみ承認が必要

⑨ 書類の提出

 医療法人は毎会計年度終了後三月以内に事業報告書等及び監事の監査報告書を都道府県知事に届け出なければなりません。(医療法第52条第1項)

  いかがでしたでしょうか。流れを見ていきますと、理事会の承認を受けた事業報告書等を社員総会から1週間前に事務所に備え置かないといけない事になりますので、理事会と社員総会の開催間隔が最低1週間は必要と言う事になります。

 また、社員総会に関しましてはあらかじめ通知した事項のみ決議するとあります(医療法第46条の3の2第6項)ので、その開催内容も事前にお知らせする必要があります。以前のように理事会と社員総会の同時開催は出来なくなりましたのでご留意いただければと思います。

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