経済・財政新生計画改革実行プログラム2024

施策

令和6年12月26日(木曜日)に令和6年第16回経済財政諮問会議が行われました。

第16回会議資料 令和6年 会議結果- 経済財政諮問会議 - 内閣府
経済財政諮問会議は、経済財政政策に関し、内閣総理大臣のリーダーシップを十分に発揮することを目的にして、2001年1月に内閣府に設置された合議制機関です。内閣府の経済財政諮問会議資料等を掲載。

その中の、「経済・財政新生計画改革実行プログラム2024」の内容をまとめてみました。

概要と位置づけ

 この計画は、2024年の骨太方針第3章「経済・財政新生計画」(2025-2030年度)に基づき、EBPMの強化策や経済・財政一体改革の工程を具体化するものです。社会保障、文教・科学技術、社会資本整備、地方行財政の4分野について、2025-2027年度を中心に改革のロードマップを示しています。

1-1.社会保障分野

 社会保障制度の持続可能性を確保するため、現役世代と高齢世代の給付・負担構造の見直しを進めます。具体的には、勤労者皆保険の実現に向けた取組、医療・介護制度の改革、全世代型社会保障制度の構築を目指します。特に、医療DXの推進、地域医療構想の見直し、介護の生産性向上などが重点項目として挙げられています。

1-2.文教・科学技術分野

 教師を取り巻く環境整備について、文部科学省と教育委員会等が連携して一体的に推進します。また、GIGAスクール構想の下での学びの効果検証や教育データの利活用促進を含む教育DXの加速を図ります。高等教育については、少子化の急速な進行を見据えた機能強化に向けた取組を進めていきます。

1-3.社会資本整備分野

 高度経済成長期以降に整備されたインフラの老朽化対策や、人口減少による担い手不足への対応が必要となっています。持続可能なまちづくりとインフラメンテナンスサイクルの構築を目指し、地域の将来像を踏まえた施設の集約・複合化等を推進します。また、インフラを「群」として捉えた広域的な戦略的インフラマネジメントや、インフラデータの分野横断的な整備・オープン化等を進めます。

1-4.地方行財政分野

 人口減少による担い手不足や少子高齢化が進む中、持続可能な地方行財政基盤を構築するため、自治体DXの推進、地方自治体の広域連携や多様な主体との連携・協働、財政マネジメントの強化等に取り組みます。特に住民と行政との接点(フロントヤード)と内部事務(バックヤード)の一体的な改革を推進するとともに、デジタル人材の確保・育成、マイナンバーカード等のデジタルインフラの整備を進めます。

 このプログラムを通じて、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靭な経済・財政の構築を目指します。限られたリソースから高い政策効果を生み出し、客観的なデータに基づくワイズスペンディング(賢明な支出)の徹底につなげていくことが意図されています。

 

 この中でやはり気になる部分は社会保障分野のうち、医療介護についてですので、こちらについての改革についても記載していきます。

2-1.医療DXによる効率化・質の向上

 全国医療情報プラットフォームの構築を進め、2025年3月末までにオンライン資格確認等システムを導入した医療機関での電子処方箋の導入を目指します。また、電子カルテ情報共有サービスの構築、標準型電子カルテの提供、社会保険診療報酬支払基金の抜本的改組などを段階的に実施していきます。

2-2.医療提供体制の改革

 新たな地域医療構想について、2024年末までの検討結果に基づき制度改正を行い、2026年度に都道府県における構想策定、2027年度から新たな地域医療構想の取組を実施する計画です。また、2024年末に策定される医師偏在対策の総合的なパッケージに基づく制度改正も予定されています。

2-3.医療従事者の働き方改革

 医師の働き方改革の施行後の状況等を踏まえ、医療従事者におけるタスク・シフト/シェアを検討します。また、多剤重複投薬等の適正化について、2024年度診療報酬改定の影響の検証等を踏まえ、2026年度診療報酬改定において必要な見直しを検討します。

2-4.介護サービスの改革

 介護の生産性・質の向上のため、ロボット・ICT活用、協働化・大規模化を推進し、KPIに基づく進捗管理を行います。また、医療費適正化や都道府県のガバナンス強化等に資するよう、国民健康保険の調整交付金や保険者努力支援制度その他の財政支援の在り方について検討を行い、2025年度までに一定の結論を得ることを目指します。

2-5.給付の適正化

 介護保険における「一定以上所得」(2割負担)の判断基準の見直しについては2025年度まで、多床室の室料負担の更なる見直しについては2027年度の前までに結論を得て、必要な制度改正等を実施します。また、医療・介護における「現役並み所得」(3割負担)の判断基準の見直しについて、2028年度までに検討を行う予定です。

2-6.医薬品関連の改革

 医薬品や医療技術の保険収載の判断等において費用対効果や財政影響などの経済性評価を活用することや、保険対象外の医薬品等に係る保険外併用療養を柔軟に活用・拡大することについて検討します。また、2025年度薬価改定については、骨太方針2024を踏まえて実施する方針です。

 これらの改革を通じて、持続可能で質の高い医療・介護サービスの提供体制の構築を目指すとともに、効率的な運営と財政の健全化を図ることが意図されています。

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