前回は適切なオンライン診療の推進についての内容を記載しましたが、同日の令和6年10月30日の第111回社会保障審議会医療部会で上記表題についても議論がなされています。
第111回社会保障審議会医療部会 資料
第111回社会保障審議会医療部会 資料
実は厚生労働省は2024年、美容医療の質の向上と被害防止を目的とした検討会を設置しています。背景には美容医療の需要増加に伴う相談件数や危害事例の増加があります。特に2023年度には医療サービスに関する相談の中で美容医療が57.8%を占めるまでになっています。
美容医療の適切な実施に関する検討会における主な議論と対応については以下の通りです。
1.主な議論の内容
1.違法・違法疑い事例について
- 保健所による立入検査や指導について、何を確認し指摘すべきかが不明確という課題が指摘されました。
- 診療録の記載が不十分で実態把握が困難という問題も挙げられています。
- 医師法違反となる無資格者による診察や施術、医師以外のスタッフによる治療方針の決定をしているなどの事例が報告されています。
2.医療の質の向上について:
- 形成外科学の基礎知識や経験が不足している医師による施術の問題が指摘されました。
- 合併症への対応能力が不十分な医師の存在や、発生した合併症に適切に対応しない医療機関の問題が挙げられました。
- 患者への説明不足や、強引な勧誘、高額な治療への誘導といった問題も指摘されています。
2.これらに対する主な対応案:
1.違法・違法疑い事例への対応
- 医師法の解釈や保健所の立入検査・指導のプロセスを明確化する通知の発出
- 診療録の必要記載事項の追加・整備
- 美容医療を提供する医療機関からの定期的な報告制度の確立
2.医療の質向上への対応
- 関係団体によるガイドラインの策定(適切な治療法、説明内容・方法、アフターケア、医療提供体制等)
- 安全管理措置の実施状況等の定期報告・公表制度の導入
- 医療機関同士の連携体制の構築(特に合併症発生時の対応)
- 国民向けの適切な情報提供(医療機関の選び方、リスク等)と周知
- 医療広告のネットパトロール強化
特に重要な点としては、
- ガイドラインについては、遵守を確保する仕組みづくりの必要性が指摘されています。
- 医療機関として組織的に対応する体制構築の重要性が強調されています。
- 患者への情報提供について、正しい知識の普及や適切な医療機関の選択に資する情報の集約・提供が求められています。
検討会では、これらの課題と対応案について具体的な制度設計を進め、実効性のある対策の確立を目指しています。特に美容医療の特性を踏まえた独自の規制や管理の仕組みの必要性が認識されており、保険診療とは異なる対応が検討されています。
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