新たな地域医療構想に精神医療も組み入れるための検討プロジェクトが始まっています。
第1回 新たな地域医療構想において精神医療を位置付ける場合の課題等に関する検討プロジェクトチーム【令和6年11月6日】
第1回 新たな地域医療構想において精神医療を位置付ける場合の課題等に関する検討プロジェクトチーム 資料
以下、添付資料の主要なポイントをまとめました。
1.地域医療構想の現状と新たな方向性について
現行の地域医療構想は、2025年に向けて医療機関の機能分化・連携を進め効率的な医療提供体制の確保を目指すものです。各都道府県が構想区域(原則二次医療圏)ごとに、2025年の医療需要と必要病床数を医療機能別(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)に推計し地域医療構想として策定しています。
しかし、新たな地域医療構想では2040年頃を見据え、より包括的な医療提供体制の構築を目指しています。特に、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大に対応するため病院だけでなく、かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携等を含めた地域全体の医療提供体制を検討することとしています。
2.精神医療の現状と課題
精神医療については、平成16年に「入院医療中心から地域生活中心へ」という理念が示されて以降、様々な施策が実施されてきました。
現在の状況としては、
- 精神疾患を有する総患者数は約614.8万人(入院約28.8万人、外来約586.1万人)
- 精神病床数は32.4万床(令和2年)
- 入院患者の約64%が65歳以上
- 疾患別では統合失調症が最も多いが減少傾向
- 気分障害や認知症患者が増加傾向
2040年に向けた主な課題としては、
- 精神病床における高齢化の進展等に伴う入院患者数の減少への対応
- 病床の適正化と効率的な医療提供体制の確保
- 精神病床の機能分化・連携の推進
- 一般医療との連携体制の強化
- 外来・在宅医療提供体制の整備
などがあげられます。
3.新たな地域医療構想における精神医療の位置づけ
精神医療を新たな地域医療構想に位置付けることで以下のような効果が期待されます。
- 精神医療と一般医療を含めた地域の関係者による協議の場での検討が可能になる
- 2040年頃の精神病床数の必要量推計に基づく計画的な適正化
- 病床機能報告制度を通じた精神医療の見える化
- 精神医療と一般医療の連携強化
- 地域医療介護総合確保基金等による財政支援の活用
これらの実現に向けては、以下の法等の整備が必要とされています。
- 精神病床の将来推計方法の確立
- 病床機能報告制度への精神病床の組み入れ
- 構想区域・協議の場の設定
- 都道府県知事の権限の整備
- 外来・在宅医療等を含めた包括的な体制整備
これらの改革を進めるにあたっては精神医療の特性や従来の取組を踏まえ、十分な準備期間を設けながら段階的に実施していくことが提案されています。
令和6年12月に予定している新たな地域医療構想の取りまとめに、これら精神医療についても盛り込む予定だそうです。
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