社会医療法人の認定についての一部改正

社会医療法人

令和6年3月30日付で上記改正に関する局長通知が出されておりました。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001240036.pdf

内容的には

①社会医療法人の認定要件に「新興感染症発生・まん延時における医療」が追加されたこと

②「事業報告書等の提出書類作成の追加」が求められることになりました。

①新興感染症発生・まん延時における医療が社会医療法人の認定要件に追加

社会医療法人になるための認定要件の一つには救急医療等確保事業を行い、当該都道府県の医療計画に記載されなければならないというものがあります。

その救急医療等確保事業は今まで、救急医療・災害時における医療・へき地の医療・周産期医療・小児医療(小児救急医療を含む。)といういわゆる5事業のみとされていました。

これに今回、新興感染症発生・まん延時における医療が追加されたわけです。コロナ禍での医療体制の見直しから認定要件に加えるべきとなったのでしょう。

ちなみにこちらの医療に関する病床は30床以上確保等していなければならない、災害派遣医療チーム(DMAT)等を有する必要がある等それなりのハードルの高さがあります。

そのため、要件を満たす法人は全国で22法人(内、新規で社会医療法人となる法人は7法人)と見込まれています。

コロナ禍で対象患者への病床確保が逼迫していたことを踏まえての措置かと思います。

ちなみにご存知の通り、社会医療法人に認定された場合には本来業務(病院、診療所、、介護老人保健施設、介護医療院)については法人税が、直接救急医療等確保事業に係る業務の用に供する固定資産や不動産については固定資産税と不動産取得税が非課税となります。

②事業報告書等の提出書類作成の追加

こちらは「関係事業者との取引の状況に関する報告書」と医療法第51条第2項に該当する法人について「純資産変動計算書」と「附属明細表」の提出書類作成が明記されました。医療法人の事業報告書等には上記取引に関する報告書の提出が義務付けられていたのですが、社会医療法人には今までこの作成に関する記載がありませんでした。

ただ、実際は医療法第51条第2項に該当する法人については各都道府県に対して提出する「事業報告書等提出書類」にこれらの事項の記載は求められていましたので明文化(+同法以外の社会医療法人にも関係事業者取引状況報告を求める)したということなのでしょう。

関係事業者との取引状況に関してはそれ以外にも、社会医療法人の認定要件を満たしているという定期提出書類の記載内容に「医療法人の関係者、株式会社その他営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体に対する特別の利益の供与の内容」という項目があります。当初はこちらのみの記載でしたが、コンプライアンスをもう一段高めるための方策や医療法人の経営情報の報告義務化についての影響、公益性が高い社会医療法人にも全て求めるべき内容のため変化したのかと思います。

データ化を図るために関係事業者取引の内容もそのうち今よりも細かくなるのではと個人的には思っています。

ちなみに医療法第51条第2項に該当する法人とは以下の法人をいいます。

  1. 最終会計年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が50億円以上又は
    最終会計年度に係る損益計算書の収益の部に計上した額の合計額が70億円以上である医療法人
  2. 最終会計年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が20億円以上又は
    最終会計年度に係る損益計算書の収益の部に計上した額の合計額が10億円以上である社会医療法人
  3. 社会医療法人債発行法人である社会医療法人

社会医療法人は2と3が関連しますがおそらくへき地医療のみ行っている社会医療法人以外はほとんど2には該当するのではないかと思われます。

上記通知はいずれも令和6年4月1日から適用されています。

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