こんにちは。大変ご無沙汰していますね。
最後の更新から1か月以上も経ってしまうとは…
初秋を満喫してました、と言いたいところですが仕事です。ハイ。
さて、気を取り直して、今回は「医療法人の役員って解任できるの?!」というお話です。
まぁ、物騒な話なので穏便に医療法人の運営を執り行っていただきたいところですが、
そんなわけにもいかないケースがあるようで、時々耳にします。
最初は仲良く運営されていても、段々とお互いに良かれと考えている方針にズレが出てくるのでしょうね。
また、代替わり時にも揉めるケースが良くあります。
そんな場合、すでに役員に就任している者について任期を待たずして解任することが出来るのでしょうか?!
一応、出来るんですよ。医療法第46条5の2には以下のように記載されています。
医療法第46条5の2
社団たる医療法人の役員は、いつでも、社員総会の決議によつて解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、社団たる医療法人に対し、解任によつて生じた損害の賠償を請求することができる。
3 社団たる医療法人は、出席者の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上の賛成がなければ、第一項の社員総会(監事を解任する場合に限る。)の決議をすることができない。
4 財団たる医療法人の役員が次のいずれかに該当するときは、評議員会の決議によつて、その役員を解任することができる。
一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つたとき。
二 心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき。
5 財団たる医療法人は、出席者の三分の二(これを上回る割合を寄附行為で定めた場合にあつては、その割合)以上の賛成がなければ、前項の評議員会(監事を解任する場合に限る。)の決議をすることができない。
ただし、第2項にも記載されている通り、解任について正当な理由がある場合を除き、解任によつて生じた損害賠償を請求できるとあります。
まぁ、「気に入らないから解任したるわ」とやると、「ほんなら損害賠償請求しまっさ」と更に揉めることになる可能性が出てきます。
ここで言う「正当な理由」とは、職務遂行上の法令違反や定款違反、職務不適応等が該当すると思われます。
横領などの背任行為とかなら分かりやすいですが、現実はそんなに簡単ではないですよね。
(そもそも、そんな悪徳な法人役員の方にお目にかかったことはありません。念のため。)
では、損害賠償請求をされた場合の金額はいかほどかと言う事にもなりますが、こちらについては解任時以降から本来の任期期間満了までの間、支払われる予定であった報酬や賞与、退職金などが対象になると考えられています。
解任を決議については、定款に別段の定めがない場合を除き、出席社員の過半数の賛成があれば行うことが出来ます。
この過半数の賛成が得られなかった場合には、医療法第49条の3(法人法第284条を準用)により、裁判所に役員の解任を認めさせるという方法があります。
医療法第49条の3
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第六章第二節第三款の規定は、医療法人の役員等の解任の訴えについて準用する。この場合において、同法第二百八十四条中「定款」とあるのは、「定款若しくは寄附行為」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
(一般社団法人等の役員等の解任の訴え)
第二百八十四条 理事、監事又は評議員(以下この款において「役員等」という。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員等を解任する旨の議案が社員総会又は評議員会において否決されたときは、次に掲げる者は、当該社員総会又は評議員会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員等の解任を請求することができる。
一 総社員(当該請求に係る理事又は監事である社員を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する社員(当該請求に係る理事又は監事である社員を除く。)
二 評議員
社員総会の日から30日以内に、社員総数の議決権の10分の1以上を持っている社員はこの請求を行うことが出来るとされています。
まぁ、不正行為や法令違反があって、なお解任できない時という限定的なものではあります。
いずれにしても、あまり積極的に行使したくない内容ですよね。
いざという時のために、知っておいた方が良い内容ですが、行使せずに法人運営されていくことを切に願います。
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