認定医療法人制度➃

医療法

認定医療法人制度の4回目です。
シリーズものでいつまで続くのかという状態ですが、後1、2回で終われば良いなと思いながら記載しています。

さて、前回は「運営に関する要件該当の説明書類の記載方法」(別添様式4)のうち、経理内容 について記載しました。
今回は、その他でドロドロして生々しいもの重要度の高いものとして、報酬等の支給基準 と 法令違反 について記載していこうと思います。

1.報酬等の支給基準

役員報酬等の支給について「持分の定めのない医療法人への移行に関する計画の認定制度について」には以下のように書かれています。

(2) その理事及び監事(以下「理事等」という。)に対する報酬等(報酬、賞与その他の職務遂行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当をいう。以下同じ。)について、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該医療法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めているものであること(施行規則第 57 条の2第1項第1号ロ)理事等に対する報酬等の支給の基準においては、理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分及びその額の算定方法並びに支給の方法及び形態に関する事項を定めるものとすること。理事等が当該医療法人の使用人として給与、賞与等を受ける場合は、理事等の報酬等と使用人として受ける給与、賞与等を併せて評価するものとする。

また、添付資料等には以下のように書かれています。

◯ 理事及び監事に対する報酬等(報酬、賞与その他の職務遂行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当)の支給基準
◯ 理事が使用人として給与、賞与等を受ける場合は、使用人の給与等の支給基準

でもって役員報酬規程や退職手当規程等を添付してくださいねと記載されています。
使用人分の給与等は職種による棒級表などが理想的ではないでしょうかね。お手盛りはダメですよと言う事でしょう。
また、改正医療法では原則、社員総会で役員報酬を決議し支給することになります。
場合によっては定款等に金額まで記載するケースも選択できます。
でも、定款に金額まで載せてしまったら金額を変更したい場合には定款変更申請が必要なので現実的ではないかな。
定款変更大好き!役所訪問大好き!とか言うポジティブな人がいればお勧めします。

気になるのは金額でしょうね。いくら迄許されるの?!というのが疑問かと思いますし、問い合わせても明確には教えてくれません。
士業の研修とかでこっそり講師の先生が教えてくれたのは、厚労省が持っている役員報酬のデータは社会医療法人のものがメインのようですので、基準が3,600万円で考えているとの事のようです。この、3,600万円は社会医療法人の縛りではなく、特定医療法人の年間給与支給額の縛りなのですが、特定医療法人から社会医療法人成した法人が割と多く(県によっては特定医療法人経由で社会医療法人になってくれという指導もあると聞いたこともあります。)これが基準となっているようです。

ただ、3,600万円でなければダメというわけではなく、上記記載の通り「事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給基準」を定めていれば良いことになります。ただし状況説明の問い合わせが来る可能性は高くなるでしょうね。
実際口頭で聞いた話では億単位の年間報酬は認めないそうです。(厚労省を論破できる猛者の方お待ちしております。)

2.法令違反

法令違反に該当する区分としては、次の項目になります。
 ➀医療に関する法令違反 ➁都道府県知事から改善勧告を行われたが是正されていない事項(勧告に反する開設、増床、種別変更を含む) ➂帳簿書類の隠ぺい・仮装 ➃その他公益に反する事実

ちなみに、これらの項目に「有」をつけた場合には、当該会計年度及び前会計年度に法令違反等があることになるため、認定要件を満たさないことになります。つまり、認定をうけられません。具体的には以下の項目がある場合が該当します。

申請日の属する会計年度及び前会計年度において、次に掲げる事実がある場合に、その内容を記載すること。
イ 医療に関する法律に基づき医療法人又はその理事長が罰金刑以上の刑事処分を受けた場合
ロ 医療法人の開設する医療機関に対する医療監視の結果、重大な不適合事項があり、都道府県知事から改善勧告が行われたが是正されない場合
ハ 医療法第30条の11の規定に基づく都道府県知事の勧告に反する病院の開設、増床又は病床種別の変更が行われた場合
ニ 医療法人の業務若しくは会計が法令、法令に基づく都道府県知事の処分、定款若しくは寄附行為に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認められた場合であって、医療法第64条第1項の必要な措置をとるべき旨の命令若しくは第2項の業務の全部若しくは一部の停止の命令又は役員の解任の勧告が発せられた場合
ホ その他イから二までに相当する法令についての重大な違反事実があった場合
へ 帳簿書類に取引の全部若しくは一部を隠蔽 し、又は仮装して記録若しくは記載をしている事実

イ~ハについては、これに違反することがあるの?!というレベルですね。
でも、記載しておかないと認定医療法人の法令違反では無いと言う事で認められてしまうとマズイので載せているという感じがします。
ニ~ヘについてが問題の事項ですね。特に税務事項については税務調査がなければ法令順守の意識も薄れ、ゆるゆるの会計処理になっている可能性も否めません。(もちろんきちんとした処理をしている法人様がほとんどかと思いますが。)

ただ、これ認定後6年間(正確には5年10か月)も維持しなければならず、万が一、法令違反と認められた場合そこでみなし贈与税課税バンザイですからね。入念に準備していただきたいところです。

今回はここまでとします。次回は残りの事項に触れていこうと思います。







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