関係事業者との取引に関する報告書

医療法

今回は「関係事業者との取引に関する報告書の提出について」です。

なんだか長ったらしいなと思われた方もいらっしゃるかと思います。
実際は医政局の課長通知は「関係事業者との取引の状況に関する報告書の様式等について」など、もっと長い名前なんです。なのでご了承ください。

内容的には「医療法人の関係事業者に該当して一定の取引をしている場合には、会計年度終了後3か月以内に提出する事業報告書にその旨も記載して提出してくださいね。」という内容です。

ちなみに適用開始時期は平成29年4月2日以後に開始する会計年度からです。

では、具体的な内容です。

関係事業者とは、運営する医療法人と以下に該当する取引を行う場合における一定の者(※下記参照)をいいます。

<医療法人と行う取引>
(1)事業収益又は事業費用の額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度における事業収益の総額(本来業務事業収益、附帯業務事業収益及び収益業務事業収益の総額)又は事業費用の総額(本来業務事業費用、附帯業務事業費用及び収益業務事業費用の総額)の10パーセント以上を占める取引
(2)事業外収益又は事業外費用の額が、1千万以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度における事業外収益又は事業外費用の総額の10パーセント以上を占める取引
(3)特別利益又は特別損失の額が、1千万円以上である取引
(4)資産又は負債の総額が、当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占め、かつ1千万円を超える残高になる取引
(5)資金貸借、有形固定資産及び有価証券の売買その他の取引の総額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占める取引
(6)事業の譲受又は譲渡の場合、資産又は負債の総額のいずれか大きい額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占める取引

<一定の者>
(1)当該医療法人の役員又はその近親者(配偶者又は二親等内の親族)
(2)当該医療法人の役員又はその近親者が代表者である法人
(3)当該医療法人の役員又はその近親者が株主総会、社員総会、評議員会、取締役会、理事会の議決権の過半数を占めている法人
(4)他の法人の役員が当該医療法人の社員総会、評議員会、理事会の議決権の過半数を占めている場合の他の法人
(5)(3)の法人の役員が他の法人(当該医療法人を除く。)の株主総会、社員総会、評議員会、取締役会、理事会の議決権の過半数を占めている場合の他の法人

上記に合致する場合には事業報告等を提出する際、追加で様式に内容を記載の上、提出しなければなりません。
報告する内容については以下の通りです。

<報告内容について>
関係事業者との取引に関する報告については、次に掲げる事項を関係事業者ごとに記載しなければならない。
(1)当該関係事業者が法人の場合には、その名称、所在地、直近の会計期末における総資産額及び事業の内容
(2)当該関係事業者が個人の場合には、その氏名及び職業
(3)当該医療法人と関係事業者との関係
(4)取引の内容
(5)取引の種類別の取引金額
(6)取引条件及び取引条件の決定方針
(7)取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高
(8)取引条件の変更があった場合には、その旨、変更の内容及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容
ただし、関係事業者との間の取引のうち、次に定める取引については報告を要しない。
イ 一般競争入札による取引並びに預金利息及び配当金の受取りその他取引の性格からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引
ロ 役員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払い

文字で記載すると仰々しいですが、実際は次のような様式に記載するだけなので、そんなに大げさな内容でもないかと思います。(該当部分のみ抜粋)
集計は大変な場合があるかもしれませんね。

①280418 事業報告書等改正通知(様式)

また、この報告書を提出することにより取引そのものが即座にどうのこうの言われるものではありません。
(将来的に言われる可能性は否定できませんが。。。また、税務上は別の話になりますね。)

ただし、医療法改正により上記取引を含む理事等が行う取引が、利益相反取引になる場合には理事会で承認決議をしなければならなくなりました。

<医療法>
第四十六条の六の四 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十八条、第八十条、第八十二条から第八十四条まで、第八十八条(第二項を除く。)及び第八十九条の規定は、社団たる医療法人及び財団たる医療法人の理事について準用する。この場合において、当該理事について準用する同法第八十四条第一項中「社員総会」とあるのは「理事会」と、同法第八十八条第一項中「著しい」とあるのは「回復することができない」と読み替えるものとし、財団たる医療法人の理事について準用する同法第八十三条中「定款」とあるのは「寄附行為」と、「社員総会」とあるのは「評議員会」と、同法第八十八条の見出し及び同条第一項中「社員」とあるのは「評議員」と、同項及び同法第八十九条中「定款」とあるのは「寄附行為」と、同条中「社員総会」とあるのは「評議員会」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

<一般法人法>
第八十四条 理事は、次に掲げる場合には、社員総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 理事が自己又は第三者のために一般社団法人の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 理事が自己又は第三者のために一般社団法人と取引をしようとするとき。
三 一般社団法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において一般社団法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき。

例えば、医療法人の役員とMS法人の役員を兼務している場合などが当てはまると思います。

上記に合致する医療法人は少し手間が増える事になりますね。







コメント

  1. […] <関係事業者との取引に関する報告書> http://youtaxsaver.wp-x.jp/2018/02/20/ […]

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