特定医療法人の評議員

医療法

今回は特定医療法人(社団)の評議員についてです。
特定医療法人の承認要件の一つに役員の親族制限に関する基準があります。

租税特別措置法施行令 第39条の25 法人税率の特例の適用を受ける医療法人の要件等
二 その運営組織が適正であるとともに、その理事、監事、評議員その他これらの者に準ずるもの(以下この項において「役員等」という。)のうち親族関係を有する者及びこれらと次に掲げる特殊の関係がある者(以下次号において「親族等」という。)の数がそれぞれの役員等の数のうちに占める割合が、いずれも3分の1以下であること。
イ 当該親族関係を有する役員等と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
ロ 当該親族関係を有する役員等の使用人及び使用人以外の者で当該役員等から受ける金銭その他の財産によつて生計を維持しているもの
ハ イ又はロに掲げる者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの

理事、監事、評議員などの役員は親族並びに特殊関係者が各々3分の1を超えてはいけませんというものです。
では、そもそもこれらの役員は何名必要なのかということになりますが、厚生労働省医政局長通知「特定医療法人制度の改正について」(最終改正 医政発0325第3号 平成28年3月25日)で次のように記載されています。

役員等の構成
その法人の運営組織が適正であるとともに、その理事、監事、評議員その他これらの者に準ずるもの(以下「役員等」という。)のうち親族関係を有する者及びこれらと租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43号)第39条の25第1項第2号イからハまでに掲げる特殊な関係がある者(以下「親族等」という。)の数がそれぞれの役員等の数のうちに占める割合が、いずれも3分の1以下であること。
なお、運営組織の適正性を保つ見地から、役員等の数は、理事について6名以上及び監事について2名以上としていること並びに評議員の数について理事の数の2倍以上としていること。

つまり、特定医療法人の場合、役員構成は最低でも理事6名、監事2名、評議員12名が必要となるわけです。
さらに親族等の要件に照らし合わせると、最低人数での役員構成の場合、親族等の役員就任は理事2名、監事0名、評議員4名が上限となります。

実は今回の第7次医療法改正(平成28年9月1日施行)で評議員について以下の改正がでております。

医療法第46条の4第3項
評議員は、当該財団たる医療法人の役員又は職員を兼ねてはならない。

これは医療法人財団に関する規定なのですが、実は改正後の特定医療法人のモデル定款には以下のように記載されています。

<特定医療法人モデル定款>
第8章 評議員
第45条第3項
評議員は、役員又は職員を兼ねることはできない。

今まで、評議員の3分の1は法人の職員にされていたケースが多数見受けられましたが、この改正でできなくなりました。
評議員は財団を前提としており条文上はそのような構成になってますが、社団であってもこれに準じた取扱いになるそうです。

ちなみに経過措置項目となっており、現行の評議員の要件は平成30年8月31日まで適用できることになっています。

医療法人の機関について(厚労省局長通知/医政発0325第3号・平成28年3月25日)より
施行日において現に存する医療法人の評議員について、施行日から起算して2年を経過する日(平成30年8月31日)までの間における、評議員の適用については、同文中「役員又は職員」とあるのは、「役員」とすること。

しかし、決算総会等に合わせて評議員選任を行う場合には3月決算法人の場合、早急に人選を行う必要があります。
特定医療法人社団の場合の評議員は特定医療法人財団の場合の評議員と異なり意思最高決定機関ではありませんが、医療法人の経営を担う役割を持っていることには変わりありませんので、慎重な人選が必要ですね。







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