特定医療法人の定期提出書類の改定

特定医療法人

今回は特定医療法人制度についてです。

国税局に提出する「特定医療法人の書類」について改定があった事をご存知でしょうか?!
昨年の税制改正において、改正された事により申請書類や定期提出書類の様式も変更になっています。

ちなみに税制改正では、こんな事が記載されていました。

平成30年度税制改正大綱 P85より抜粋
(5)特定医療法人の法人税率の特例
 特定の医療法人の法人税率の特例について、次の措置を講ずる。

➀ 承認要件のうち社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、社会保険診療等に係る収入金額の範囲に一定の予防接種に係る収入金額、助産に係る収入金額(一の分娩に係る助産に係る収入金額が50万円を超えるときは、50万円を限度とする。)及び介護保険法の規定に基づく保険給付に係る収入金額を加える。

➁ 承認要件に、その経理に関し次の基準に適合していることを加える。
イ 青色申告法人の帳簿書類の保存に準じて、帳簿書類を備え付けてその帳簿書類にその取引を記録し、かつ、その帳簿書類を保存していること。
ロ その支出した金銭でその費途が明らかでないものがあることその他の不適正な経理が行われていないこと。

➀については、以前にブログにも記載しました。

平成30年度 税制改正①(社保診療等80%要件の改正)
http://youtaxsaver.wp-x.jp/2018/01/08/

今回の提出書類の変更は➀のみならず➁についても指しているようです。

では、見ていきましょう。

1.特定医療法人としての承認を受けるための申請

<申請書・添付書類一覧>
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/iryo/annai/document_list1.htm

いわゆる一番最初に特定医療法人の承認を受けるために提出する申請書類の事です。
なので、これから承認申請する法人様は、全てこの新しい書式にて申請することになります。

申請書・添付書類は、

➀特定医療法人としての承認を受けるための申請書
➁寄附行為又は定款の写し
➂申請時の直近に終了した事業年度に係る厚生労働大臣の定める基準を満たす旨の証明書
➃申請者の医療施設等の明細表(申請書付表1)
➄申請者の附帯業務等の明細表(申請書付表2)
➅承認要件を満たす旨を説明する書類
➆役員等に関する明細表(書類付表1)
➇特殊関係者の施設の利用等に関する明細表(書類付表2)

となっています。

以前は➃の「申請者の医療施設等の明細表(申請書付表1)」に附帯業務も記載していましたが、➄の「申請者の附帯業務等の明細表(申請書付表2)」に記載する方法に変わっており、簡素化されています。

また、➅の「承認要件を満たす旨を説明する書類」は大幅に変更されており、まず「1.運営組織」については、社員に関する部分が追加されています。
「2特殊関係者に対する特別の利益」については、従前は「2経理内容」として記載されていましたが、名称が変わり状況説明が多岐に渡るようになっています。
「3経理の状況」については、「帳簿書類の備付け等」や「費途不明金等の状況」など、以前はなかった項目が記載されています。この辺りが平成30年度税制改正での「P85(5)特定医療法人の法人税率の特例 ➁」を反映しているのでしょうね。

役員等に関する明細表(書類付表1)についても変更があり、今までは1枚に「理事・監事・評議員」に関する事項を記載する形でしたが、今回から各々独立して記載することになり、更に「4社員に関する明細」の記載欄が出来ています。
特殊関係者の施設の利用等に関する明細表(書類付表2)については、フォーマットが変更された形で、従前より若干細かくなったようです。
少し変わっている部分としては、「(4) 特殊関係者が役員等となっている他の法人の明細」について、従前は他の法人における「給与支給額」の記載がありましたが、こちらが無くなり、新たに「年間取引金額」の記載がなされています。
「他の法人で給与いくらもらってるんですか」なんて聞けなかったので、無くなって良かったですね。

こんな感じで変更となっています。

2.承認要件を満たす旨を説明する書類の提出
こちらは、特定医療法人承認後、各事業年度終了の日の翌日から3月以内に納税地の税務署経由で提出する、いわゆる「定期提出書類」の事です。

<申請書・添付書類一覧>
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/iryo/annai/document_list2.htm

こちらの書類は、平成30年4月1日以後開始事業年度から新書式になります。それ以前の開始事業年度分は今まで通り(旧書式)での書類提出になります。

新申請書・添付書類は、

➀特定医療法人の定期提出書類の提出書
➁対象事業年度に係る厚生労働大臣の定める基準を満たす旨の証明書
➂承認要件を満たす旨を説明する書類
➃役員等に関する明細表(書類付表1)
➄特殊関係者の施設の利用等に関する明細表(書類付表2)

となっています。

旧様式との違いは「1.特定医療法人としての承認を受けるための申請」と同じです。
まぁ、様式が同じですから、変更点も同じなわけですね。

3.法人税率の特例の適用を取りやめるための届出
こちらも、以前取りやめについてブログでご紹介したものです。

特定医療法人承認後の取りやめは出来るのか?!
http://youtaxsaver.wp-x.jp/2018/07/06/

ただし、こちらについては様式変更はありません。従前と同じ届出書での提出となります。

いかがでしたでしょうか。ご存知の通り、特定医療法人の定期提出書類の提出は決算終了後3か月以内かつ、到達日基準になります。

提出書類が間違っていて、慌てて作り直しにならないように、くれぐれもお気を付けください。

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