医療法人における太陽光発電の取扱い

医療法

今回は電気の話しです。
医療法人は原則、収益業務を行うことができないことは前回お話ししました。

医療法人の収益業務について
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では、病院内等にソーラーパネル等を設置した場合にはどうなるのかという話です。
震災後や夏場の電力不足が一時期騒がれていましたが、これを解消するように各電力会社が電力の買取を積極的に行ってきています。
今はひと段落したみたいですけれども。(今年の酷暑でも電力不足は騒がれませんでしたし。)
これについての医療法上の取扱いについて記載していきます。
それでは内容です。

1.余剰電力の買い取り
医療法人が自法人の施設等に使用する電力を賄うために、太陽光パネルを設置し電力を供給し、余った電力を買い取ってもらうことについては、医療法に反しない扱いとなります。
まぁ、余った分だけ勿体無いから他で使ってもらうことについては、特段問題にはならないでしょう。
ただし、余った電気をたくさん売りたいから、大きな設備を構築し、自法人の使用は少しにして後は売るというやり方はダメです。
そもそも「それ余剰電力じゃないでしょ」という話ですよね。

2.全量買取
全量買い取りについては、電力販売を業として行っていることになりますので、収益事業を行っていることになります。
ですから、社会医療法人は定款に記載することにより行うことが出来ますが、それ以外の医療法人は行うことが出来ません。

3.全量買い取りをおこなっている事業者に不動産を貸すこと

(1)不動産の賃貸
上記、全量買取を行っている事業者に対して、医療法人が所有する不動産を賃貸することは認められません。
不動産賃貸業を行っていることになり、収益事業に該当してしまうためですね。
用途はさておき、そもそも不動産を貸していること自体が医療法に抵触しますねという話ですね。
ここも、社会医療法人なら定款に記載することにより行うことができます。それ以外の医療法人はダメです。

(2)無償による使用貸借
全量買取を行っている事業者に対し、医療法人の所有する不動産を他人に無償で貸す場合(使用貸借)は、どうでしょうか?!
この場合は、金額を受け取っていないため収益業務に該当しないため医療法としては可能です。

ただし、医療法人が事業として活用できる不動産を第三者に使用貸借することが医療法人の非営利性の観点から問題が生じないようにしなければならないとあります。
また、使用貸借の対象になる不動産の範囲や利用目的、当該不動産の借り手の状況などを総合的に勘案して適正ではない場合には監督官庁が止めさせる命令が出来るとされています。

これは簡単に言うと、MS法人などを事業者として使用賃借する場合には、事前に当該都道府県等に確認を取ってねと言う事ですね。

釘を刺しておきながら、一応、他事業者の医療法人への使用貸借による全量売電については、建物の屋根など利用価値のなかったものを有効活用する事、契約などを含め医療法人の運営として著しく適性を欠くものでないことが満たされている場合には可能であるとはしていますね。

後は、税務上、使用貸借の場合には契約書作成の上、無償返還届出書を提出することを忘れずに行ってください。
忘れると認定課税を指摘される恐れがあります。

実際問題として、MS法人等で全量買取を行うために設備投資をしても利幅を出すのが大変だとおもいますので、余剰電力を買い取ってもらう方が現実的なのかなと思いますね。





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