特定医療法人承認後の取りやめは出来るのか?!

特定医療法人

 今回は特定医療法人制度のうち、取りやめについての内容を記載していきます。
 後ろ向きな内容が内容なので、スピーディに書いていきましょう。

 そもそも、取りやめなど出来るの?!と思われる方もいらっしゃいますが、
 結論から申し上げますと、取りやめ書を提出するだけで特定医療法人やーめたと出来てしまいます。

<特定医療法人の法人税率の特例の適用の取りやめの届出書>
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/ts240.pdf

 「承認を受けるのは大変なのにねぇ」と思いますが、昨今、病床維持が困難になってきた病院様や、医療法改正により、法人職員が評議員になることを認められなくなったため、人選が困難な事例が出てきています。
 確かに理事の2倍の評議員を集めなければならず、理事は最低6名必要ですので評議員を12名集めなくてはいけないと言う事はなかなかハードルが高い項目ですね。
 また実際に評議員会を行わなくてもいけないので、日程調整や当日までの準備は今まで以上に手間がかかると思われます。

 大きな声では言えませんが、昔ほど税率のメリットも小さくなってきたため特定医療法人にこだわることもないかなという考えの法人様もちらほら出てきているようです。
 (税率は平成30年7月現在、特定医療法人は年800万円以下は15%、800万円超は19%、医療法人は23.2%、(出資1億以下若しくは出資がない医療法人は年800万円以下については15%))

 確かに特定医療法人制度に含まれている、給与や役員報酬の縛り(年3,600万円)や定期提出書類提出の煩雑さは現場の方からしてみたらかなり面倒かもしれません。
 ただ、逆に特定医療法人であるから、運営等のガバナンスもきちんとしなくてはという非常に高尚かつ公益性や透明性確保について真摯に取り組まれている法人様が多いことも事実です。
 (一般の医療法人様や取りやめにする医療法人様が高尚でないという意味ではありません。念のため。)

 しかしながら上記記載の通り、実務上やむを得ず取りやめをせざるを得ない法人様が出てきています。

 取りやめをされる場合の流れとしては、定款変更認可、取りやめ決議後、取りやめと言う流れになります。
 定款変更は評議員の項目の削除や、この定款変更に合わせて改正医療法関連についてもこれに附随して定款変更することになります。

 ちなみに、取りやめ後、やっぱもう一回特定医療法人になりたいわと言う、離婚後よりを戻す行為を行いたい場合には「特定医療法人の法人税率の特例の適用の取りやめの届出書」を提出した日の翌日から3年を経過した日以後でなければ行うことはできません。承認受けた、辞めたの繰り返しは簡単にはできませんよというものです。(まぁ当たり前ですよね。)根拠条文の流れは以下の通りです。

租税特別措置法
(特定の医療法人の法人税率の特例)
第六十七条の二 財団たる医療法人又は社団たる医療法人で持分の定めがないもの(清算中のものを除く。)のうち、その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき政令で定める要件を満たすものとして、政令で定めるところにより国税庁長官の承認を受けたもの(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第四十二条の二第一項に規定する社会医療法人を除く。)の当該承認を受けた後に終了した各事業年度の所得については、法人税法第六十六条第一項又は第二項の規定にかかわらず、百分の十九の税率により、法人税を課する。

租税特別措置法施行令
(法人税率の特例の適用を受ける医療法人の要件等)
第三十九条の二十五 法第六十七条の二第一項に規定する政令で定める要件は、次に掲げる要件とする。
~略~
2 法第六十七条の二第一項の承認を受けようとする医療法人は、次に掲げる事項を記載した申請書を、納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出しなければならない。
 一 申請者の名称、納税地及び法人番号
 二 代表者の氏名
 三 その設立の年月日
 四 申請者が現に行つている事業の概要
 五 その他参考となるべき事項
~略~
4 次の各号に掲げる医療法人は、当該各号に定める日の翌日から三年を経過した日以後でなければ、第二項の申請書を提出することができない。
 一 法第六十七条の二第二項の規定に基づく承認の取消しを受けた医療法人 当該取消しの日
 二 第六項に規定する届出書を提出した医療法人 当該届出書を提出した日

 いかがでしたでしょうか。特定医療法人の取りやめは出来ますが、その時点までにすでに特定医療法人の要件等を満たさない場合には、その時点までさかのぼって課税されることもあり得ますので、特にガバナンスや法人様の透明性を確保した上で慎重に取りやめを行っていただきたいと思います。







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