議事録の署名押印

医療法

 今回は議事録の署名押印です。
 最近問い合わせが増えているのが、この議事録の署名押印の対象者についてです。
 従前は代表者2名程度の署名若しくは記名押印で済んでいたものですが、改正医療法により、原則は出席した理事及び監事全員の署名若しくは記名押印が必要になりました。

 一応、定款変更等で理事については出席した理事長が議事録に署名若しくは記名押印するよと定めている場合には理事長で良いとされています。
 まぁ、負担を減らしたいなら定款若しくは寄附行為を変えときなはれと言う、地味にいやがらせダメージを負わせる感がぬぐえません。

 これの根拠法は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」から準用しているようです。以下記します。

医療法
第四十六条の七の二 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十一条から第九十八条まで(第九十一条第一項各号及び第九十二条第一項を除く。)の規定は、社団たる医療法人及び財団たる医療法人の理事会について準用する。この場合において、当該理事会について準用する同法第九十一条第一項中「次に掲げる理事」とあり、及び同条第二項中「前項各号に掲げる理事」とあるのは「理事長」と、同法第九十五条第三項及び第四項並びに第九十七条第二項第二号中「法務省令」とあるのは「厚生労働省令」と読み替えるものとし、財団たる医療法人の理事会について準用する同法第九十一条第二項、第九十三条第一項、第九十四条第一項、第九十五条第一項及び第三項並びに第九十六条中「定款」とあるのは「寄附行為」と、同法第九十七条第二項中「社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て」とあるのは「評議員は、財団たる医療法人の業務時間内は、いつでも」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法人法」という)
(理事会の決議)
第九十五条 理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2 前項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。
3 理事会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該代表理事)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

 ちなみにこれは社団医療法人と財団医療法人の理事会についての議事録の署名若しくは記名押印についてです。
 ですから、社団医療法人の社員総会や財団医療法人の評議員会では、この適用はありません。
 ただ、実務上はどなたかの署名若しくは記名押印はあった方が良いですよね。有事の際の議事録の効力とか考えると。

 人によっては、「そんなのどうだっていいんじゃない(TMRにこんな歌あったなぁと思いながら書いています。)」と思われる方がいらっしゃるかと思います。
 なぜこれが問題になるのかというと、理事長が就任した際、理事長登記をする時にこの議事録が必要になってくるのですねぇ。
 それで厳しいことに、押印した印鑑については「印鑑証明書」を添付しなければならないのです。

 各種法人等登記規則第5条において、商業登記規則を準用するとあり、これについて商業登記規則は印鑑証明書の添付を求めています。

各種法人等登記規則
(商業登記規則等の準用)
第五条 商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第一条の二第一項、第二条から第六条まで、第九条から第十一条まで、第十三条から第二十二条まで、第二十七条から第四十五条まで、第四十八条から第五十条まで、第五十三条第二項、第五十八条から第六十条まで、第七十五条、第九十八条から第百九条まで、第百十一条、第百十二条及び第百十四条から第百十八条までの規定は各種法人等の登記について、商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第四十六条第一項並びに同規則第一条の二第二項、第六十一条第一項、第六項及び第八項、第六十二条から第六十八条まで、第七十条から第七十四条まで、第七十六条から第七十八条まで、第八十条から第八十一条の二まで、第百十条並びに第百十三条の規定は各種法人の登記について、同規則第一条の二第三項、第九十三条、第九十四条第二項、第九十五条、第九十六条第一項(第三号から第六号までを除く。)及び第二項並びに第九十七条の規定は各種外国法人の登記について準用する。この場合において、同規則第一条の二第一項中「登記所及び次の各号に掲げる区分」とあるのは「登記所」と、同条第二項中「法第七十九条に規定する新設合併」とあるのは「新設合併」と、同規則第九十六条第一項第二号中「登記所の管轄区域内に日本における代表者の住所地がある場合(すべての日本における営業所を閉鎖した場合に限る。)」とあるのは「清算の開始の命令がある場合」と読み替えるものとする。

商業登記規則
(添付書面)
第六十一条 
~中略~4 設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑についても、同様とする。

 再任が除かれているのが救いでしょうか。

 ちなみにこれらについては、法務省の平成27年医療法改正に関する通知として記載されています。

<医療法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(通知)>
http://www.moj.go.jp/content/001203911.pdf

 ということで、議事録の署名若しくは記名押印については、対象者に事前説明をするなど根回しはしておいた方がよろしいかと思います。







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