認定医療法人制度➄

医療法

認定医療法人制度の第5回目です。
シリーズで続いていますが、今回で終わらせたい所ですね。
「運営に関する要件該当の説明書類の記載方法」(別添様式4)の残りの事項です。

残っているのは、運営組織、役員等の選任方法、遊休財産、収入金額、自費患者への請求金額、医療に係る経費等、その他の書類付表(1~3)ですね。

数にしてみると結構残ってますね。終わるんでしょうか(笑)
かける分だけ書いていきます。
早速ですが見ていきましょう。

1.運営組織
 理事・監事・社員・出資者の総数を記載していきます。
 添付資料には、役員名簿及び社員名簿の写しつけます。
 ちなみに社員=出資者ではありません。出資をしなくても社員にはなれますし、逆のパターンでは営利法人は出資はできても社員にはなれません。
 この辺りはまた機会があれば記載していきますね。

2.役員等の選任方法
 全ての理事・監事を社員総会で選任している事が必須です。
 この事項に関しての社員総会や理事会の議事録は準備しておきたいところですね。
 事業報告書等にも「当該会計年度内に社員総会又は評議員会で議決又は同意した事項」に記載すべき事項ですので、
 作成保存は必須と考えるべきですね。
 他にも予算総会、決算総会の議事録を、税務上は役員報酬についても変更がある場合には決議した議事録があった方が余計な火種を生まなくて良いかと思います。

3.遊休財産
 遊休財産については事業費用の額を超えてはいけないことになっています。
 ここで言う事業費用とは、「本来業務の事業費用の額」です。事業報告書等の損益計算書に記載する「事業費用の額」と一致します。
 本来業務とは病院、診療所。介護老人保健施設を指します。
 一方、遊休財産とは総資産の額から業務の用に供する財産を引いたものに純資産割合をかけたものです。
 業務の用に供する財産とは、本来業務、附帯業務、本来業務や附帯業務を行うために保有している財産、減価償却引当特定預金、特定事業準備資金を指します。
 減価償却引当特定預金とは、固定資産購入(例えば病院の建替え等)のための資金をプールするための預金です。
 引当額は減価償却累計額を限度とし、貸借対照表の資産の部に個別に科目計上しなければなりません。
 特定事業準備資金とは、将来の特定の事業実施のために特別に支出する費用に係る支出に充てるため保有する資金で、
 平たく言ってしまうと本来業務、附帯業務等を新規に行うための資金となります。
 こちらは定款等にその事業が記載されていなければならず、また、総会の決議を経なければならないため、減価償却引当特定預金と比較するとハードルが少し高めです。
 つらつら書きましたが、結局のところ「総資産の額から業務の用に供する財産を引いたもの」とは、書類付表3の「その他の財産」とイコールであり、現預金や有価証券、貸付金、施設会員権、保険積立金等、業務の用に供しない財産が該当します。
 事業費用の額が比較的小さい法人様は、期中もある程度数字を把握して「減価償却引当特定預金」などで対応して行きたいところですね。

4.収入金額
 収入金額はいわゆる医業収入に占める社会保険診療報酬等の割合(以下。「社保等」と記載)が80%超なければいけないという基準です。
 余談ですが、特定医療法人や社会医療法人は以前は介護保険法に係る介護報酬や、予防接種については社保等の範囲に認められませんでした。
 平成29年度の税制改正要望で認定医療法人と同じとすべきという要望がだされ、この改正が認められ介護保険法に係る介護報酬や予防接種についても社保等の範囲に含まれることになりました。
 ちなみに、予防接種については、予防接種法第2条第6項に規定するものや厚労大臣が定める予防接種(麻しん、インフル、おたふくかぜ、ロタウイルス)を指し、介護保険法は規定に基づく保険給付に係る収入金額とあり、保険給付に限られるため、全額自己負担となっている居住費・食費・滞在費は含まれません。

5.自費患者への請求金額
 記載方法には診療報酬について、自費患者に請求する金額は、社会保険診療と同一の基準により計算するか否か、いずれか該当する項目欄にチェックとあります。
 実際は、自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準により計算されること。と「持分の定めのない医療法人への移行に関する計画の認定制度について(医政支発 0929 第 1 号 平成 29 年9月 29 日)」通知に記載されていますので、同一基準でなければいけません。添付資料に自費患者に対する規定等(院内掲示物等、請求金額がわかるもの)が必要となってきます。

6.医療に係る経費等
 こちらは本来業務に係る事業収益が事業費用の1.5倍の範囲内でなければダメですよという内容ですね。
 ちなみにこの事業費用の額が3.遊休財産の額の事業費用の額と一致します。

7.その他の書類付表
 あとは付表1~3までで、今までの説明事項についての具体的な数字等を入力していく書類となります。

いかがでしたでしょうか。新認定医療法人制度は如何に事前の準備が大事か少しでもご理解いただけたなら幸いです。
残り2年と3か月程度の時限立法(平成30年6月現在)ですが、認定後も約6年(5年10か月)は要件を継続して満たさなければなりません。少しでもリスクを減らして申請してくださいね。







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