認定医療法人制度➁

医療法

前回に引き続き認定医療法人制度について記載していきます。

前回は制度についての大枠を記していきましたが、今回はこの中の「運営要件」についての内容を記載していきます。
運営要件についても今回は、まず「大枠」で記載していき、次回以降に詳細を記載していこうと思います。
あ、もったいつけているわけではなく段階的に記載していった方が理解していただけるのではないかという(カウント稼ぎ)配慮からと言う事にさせてください。(笑)

ちなみに運営要件は、主に特別の利益供与が無い様にという確認のための規定となります。
それ以外にも、「遊休財産額が事業費用の額を超えてはならない」、「社保診療等収入が全体の医業収入の80%超なければならない」、「自費患者に対する診療の額が、社保診療報酬等と同一基準でなければならない」、「医業収入は医業費用の150%以内でなければならない」などがあります。
こちらに関しては、意思決定を行うためのハードルとしてはそんなに高くはないのではないでしょうか。

むしろ、それ以外で今回記載する内容の(1)医療法人の関係者に対し特別の利益を与えないこと (2)理事・監事に対する報酬等が適正であること (3)いわゆるMS法人等に対し特別の利益を与える行為を行わない (4)法令に違反する事実、帳簿の隠ぺい仮装を行う、その他公益に反する事実がないこと この4項目についての方がハードルが高いと思われます。
では、さっそく見ていきましょう。

(1) その事業を行うに当たり、社員、理事、監事、使用人その他の当該医療法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること
(施行規則第 57 条の2第1項第1号イ)

利益を与えないものの対象となる医療法人の関係者は以下のように記載されています。

イ 「当該医療法人の関係者」とは、次に掲げるものとする。
 (イ) 当該医療法人の理事、監事、これらの者に準じ当該医療法人が任意に設置するもの又は使用人
 (ロ) 出資者(持分の定めのない医療法人に移行した後にあっては、従前の出資者であって持分を放棄した者を含む。)
 (ハ) 当該医療法人の社員
 (ニ) (イ)から(ハ)までに掲げる者の配偶者及び三親等以内の親族
 (ホ) (イ)から(ハ)までに掲げる者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
 (ヘ) (イ)から(ハ)までに掲げる者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者
 (ト) (ホ)又は(ヘ)に掲げる者の親族でこれらの者と生計を一にしている者

以上が医療法人の関係者となり、これらの者に対して以下の行為をした場合には特別の利益を与えているものと判断されます。

ロ 当該医療法人がイに掲げる者に、例えば次のいずれかの行為をすると認められ、その行為が社会通念上不相当と認められる場合には、特別の利益を与えているものと判断する。
 (イ) 当該医療法人の所有する財産をこれらの者に居住、担保その他の私事に利用させること。
 (ロ) 当該医療法人の余裕金をこれらの者の行う事業に運用していること。
 (ハ) 当該医療法人の他の従業員に比し有利な条件で、これらの者に金銭の貸付をすること。
 (ニ) 当該医療法人の所有する財産をこれらの者に無償又は著しく低い価額の対価で譲渡すること。
 (ホ) これらの者から金銭その他の財産を過大な利息又は賃貸料で借り受けること。
 (ヘ) これらの者からその所有する財産を過大な対価で譲り受けること、又はこれらの者から当該医療法人の事業目的の用に供するとは認められない財産を取得すること。
 (ト) これらの者に対して、当該医療法人の役員等の地位にあることのみに基づき給与等を支払い、又は当該医療法人の他の従業員に比し過大な給与等を支払うこと。
 (チ) これらの者の債務に関して、保証、弁済、免除又は引受け(当該医療法人の設立のための財産の提供に伴う債務の引受けを除く。)をすること。
 (リ) 契約金額が少額なものを除き、入札等公正な方法によらないで、これらの者が行う物品の販売、工事請負、役務提供、物品の賃貸その他の事業に係る契約の相手方となること。
 (ヌ) 事業の遂行により供与する利益を主として、又は不公正な方法で、これらの者に与えること。

端的に言ってしまうと、経営者若しくはこれに近い人物にだけ特別な扱いや便宜を図るようなことをしてはダメよという内容ですね。

(2) その理事及び監事(以下「理事等」という。)に対する報酬等(報酬、賞与その他の職務遂行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当をいう。以下同じ。)について、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該医療法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めているものであること
(施行規則第 57 条の2第1項第1号ロ)
 

理事等に対する報酬等の支給の基準においては、理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分及びその額の算定方法並びに支給の方法及び形態に関する事項を定めるものとすること。理事等が当該医療法人の使用人として給与、賞与等を受ける場合は、理事等の報酬等と使用人として受ける給与、賞与等を併せて評価するものとする。

基本的には棒級表など、基準があったうえでの支給体系になっていることが望ましいです。
また、認定医療法人に関わらず、役員報酬については総会や理事会での決議は当然行われなければなりません。
税務上も当然の事であり、医療法上も改正により必須事項となっています。

(3) その事業を行うに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行う者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること。ただし、公益法人等に対し、当該公益法人等が行う公益目的の事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合は、この限りでない。
(施行規則第 57 条の2第1項第1号ハ)

「特定の個人又は団体の利益を図る活動を行う者」とは、次に掲げる者とする。
イ 株式会社その他の営利事業を営む者に対して寄附その他の特別の利益を与える活動(公益法人等に対して、当該公益法人等が行う公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成 18 年改正法律第 49 号)第2条第4号に規定する公益目的事業又は医学若しくは医術又は公衆衛生に関する事業のために寄附その他の特別の利益を与えるものを除く。)を行う個人又は団体
ロ 特定の者から継続的に若しくは反復して資産の譲渡、貸付け若しくは役務の提供を受ける者又は特定の者の行う会員等相互の支援、交流、連絡その他その対象が会員等である活動に参加する者に共通する利益を図る活動を行うことを主たる目的とする団体

いわゆるMS法人に対して特別の利益供与を行ってはいけませんという規定です。

(4) 法令に違反する事実、その帳簿書類に取引の全部若しくは一部を隠蔽し、又は仮装して記録若しくは記載をしている事実その他公益に反する事実がないこと
(施行規則第 57 条の2第1項第1号ホ)

イ 当該要件は、申請日の属する会計年度及び前会計年度について申請日の前日までの間において該当する事実がないことを確認する。
ロ 「法令に違反する事実」とは、例えば、医療に関する法令の場合には次に掲げるいずれかの事実がある場合をいうものとする。
 (イ) 医療に関する法律に基づき医療法人又はその理事長が罰金刑以上の刑事処分を受けた場合
 (ロ) 医療法人の開設する医療機関に対する医療監視の結果、重大な不適合事項があり、都道府県知事から改善勧告が行われたが是正されない場合
 (ハ) 法第 30 条の 11 の規定に基づく都道府県知事の勧告に反する病院の開設、増床又は病床種別の変更が行われた場合
 (ニ) 医療法人の業務若しくは会計が法令、法令に基づく都道府県知事の処分、定款に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認められた場合であって、法第 64 条第1項の必要な措置をとるべき旨の命令若しくは同条第2項の業務の全部若しくは一部の停止の命令又は役員の解任の勧告が発せられた場合
 (ホ) その他(イ)から(ニ)までに相当する医療関係法令についての重大な違反事実があった場合

法令違反については、医療法上の違反は上記(イ)~(ハ)がメインになりますが、よほどのことがなければこの項目について違反をすることはないのではと思います。
むしろ(ニ)や(ホ)は税務上の問題で重くは仮装隠蔽、その他にも認定医療法人成後、6年間中の税務調査等での指摘事項も要件に抵触する可能性があるので、専門家の指導の下、入念な準備が必要かと思います。

いかがでしたでしょうか。上記4つの要件は今までの医療法人の運営形態にもよりますが、それなりの検証、準備を行わなければならない事がお分かりいただけたかと思います。

さらに次回は、この要件についてもう少し細かくみていくことにします。





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